負債の大小と、経営状況の評点(Y点)の上下変動について

2種類の貸借対照表を例に、Y点(経営状況の評点)がどう変わるか見てみましょう。

貸借対照表は、バランスシート・B/Sとも呼ばれたり表記されたりします。

財務諸表や決算書に含まれるものです。

Y点の試算で使う、貸借対照表の例2つ

g社・貸借対照表(単位:万円)

【流動資産】1,000【流動負債】
現預金・売上債権・棚卸資産など****買掛金・短期借入金など
【固定資産】1,000【固定負債】500
土地・機械装置など****長期借入金500
【投資その他資産】【純資産合計】1,500
資産合計2,000【負債・純資産合計】2,000

純資産内訳:資本金500万円,利益剰余金1,000万円

ここでの、優良建設会社としましょう。

goodのgでg建設会社とします。

b社・貸借対照表

【流動資産】1,000【流動負債】
現預金・売上債権・棚卸資産など****買掛金・短期借入金など
【固定資産】1,000【固定負債】1500
土地・機械装置など****長期借入金1500
【投資その他資産】【純資産合計】500
【資産合計】2,000【負債・純資産合計】2,000

純資産内訳:資本金500万円,利益剰余金0円

同じく、g建設会社に劣後する企業の貸借対照表の例です。

badのbでb建設会社とします。

両・建設会社の違いは、長期借入金の大小です。

総資産額は同じですので、長期借入金の差額の1,000万円分、b社の自己資本が小さいです。

年間の総売上高は、両社とも4,800万円とします。

ひと月当たり400万円です。

g社・b社をサンプルの建設会社とします。

資産合計が2,000万円です。

建設会社の中では小規模な部類に入るでしょうか。

X1・X2・X5・X6・X8の値が両・サンプル建設会社でどの程度の差になるか、比べてみます。

分析(経営)指標の内訳については、別ページでまとめています。

Y点(経営状況分析)各・経営指標の中身について

以下で自己資本の計算する時には、貸借対照表の純資産の値を用いています。

自己資本は「純資産の部から新株予約権を差し引いた額」と説明されます(TAC出版 2015年度版 スピードテキスト2 財務・会計p.47)。

X1(純支払利息比率)

X1は、純支払利息比率です。

支払利息など、つまりは営業外損益が年商に占める割合を本指標では見ています。

借入利子率は1%とし、受取利息や配当金はないものとします。

支払利息はg社で年間5万円、b社で15万円になるとしましょう。

他の指標が全てゼロ点とした場合のY点は、g社で575点、b社で560点ほどの試算になります。

以下、特にお断りのない限り、Y点を試算する時は、他の指標を全てゼロ点としています。

サンプルの建設会社の規模と売上高で、Y点は15点ほどの差になります。

売上規模のみが大きくなった場合、この差は縮まります。

利子率が2%になったとしましょう。

支払利息はg社で同じく10万円、b社で30万円です。

同じくY点は、それぞれg社568点、b社535点程度に変化します。

負債の大きいb社の場合で、借入利子率が1%高くなった時に、Y点が25点ほど悪化しています。

負債が相対的に小さいg社の場合は、利子率上昇によるY点の悪化具合も限定的です。

借入に関しては、避けられない側面も否めません。

借入利子率が有利な時期に借入るなどの工夫も求められます。

コロナウィルス感染症に伴う、行政機関などの利子優遇施策を上手く活用するなどが例でしょうか。

X2(負債回転期間)

X2は負債回転期間です。

ここでは負債が平均月商の何倍かを見ています。

本ページでは直接関係しませんが、返済が進まないと、数値がいつまでも悪い方で高止まりしてしまう指標でもあります。

返済が進まない場合とは、追加の借入だけでなく、返済据置といった措置も含まれます。

値はg社で1.25,b社で3.75になります。

最終的なY点はg社で573点,b社で551点ほどと試算されます。

X2のみで、サンプルの建設会社で、22点ほどの差になっています。

借入が増えても、利子率が1%下がった場合、サンプルの規模の建設会社では、Y点の上下変動については、ほぼ相殺されます。

X5(自己資本対固定資産比率)

X5は、自己資本対固定資産比率です。

設備投資などを借入主体で実施していると、悪化します。

利益を複数年積立た結果で、投資を実施しているような建設会社では、良化します。

補助金を上手く活用しながら投資を進めているような建設会社も、良化傾向になります。

サンプル建設会社のX5の値は、g社で150%,b社で50%です。

最終的なY点は、g社で612点,b社で593点ほどの試算で、差は19点ほどです。

固定資産が1,500万円に増えた場合のY点

固定資産が1,500万円に増える場合はどうでしょう。

X5の値はg社の場合で100%,b社で約33.3%に変わります。

Y点はg社602点,b社で590点ほどになる試算です。

自己資本が小さい会社の場合は特に、固定資産の増減による影響は限定的と言って差し支えないかと存じます。

X6(自己資本比率)

X6は自己資本比率です。

よく使われる経営指標ではないでしょうか。

企業経営の健全度をみる、代表的な指標の一つです。

X6自体の値はg社75%,b社で25%で、Y点はg社695点,b社619点ほどになる試算です。

76点ほどの差と、自己資本の充実度によるY点の違いが、顕著な差になって表れます。

X8(利益剰余金)

X8は利益剰余金です。

経営事項審査・経営状況分析では、1億円で割った値を用います。

小規模な建設会社にとっては不利な内容ですが、その事を確認します。

X8はg社で0.1,b社は0(ゼロ)です。

計算後のY点は両社とも変わりなく、X8にかかる点数はゼロになります。

素のX8に0.0172を乗じて、他の値とも加減算された後、小数点第3位で四捨五入されるためです。

加減算後の桁上がりについては、ここでは考慮しません。

g社b社の両社で、やはり有意な差は生まれません。

参考:経審評点算出表(令和3年4月改正分)p.4|経営状況分析機関のワイズ公共データシステム株式会社

サンプル建設会社の自己資本比率について

建設会社の自己資本比率は、年商が2億円未満の規模の建設会社でも、平均値はマイナスです。

出典は、日本政策金融公庫の小企業の経営指標調査(2021年8月)です。

b社でも自己資本比率は25%あり、プラスです。

b社であっても、建設業界平均でみれば、負債はかなりコントロールされている会社です。

Y点、変動上下の最大値について

g社は、b社より最大で132点ほどY点が高くなる可能性があります。

繰返し受給できる補助金あります。

従業員20名以下の建設業者が対象になる補助金があります。

ほぼ毎年、繰り返して補助金を受給できます。

投資額の3分の2、最大50万円まで補助されます。

採択率も9~5割と高めです。

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Posted by 行政書士 吉永